イベントの準備では、PAの調達を求められる場合があります。PAは多くのイベントに欠かせないアイテム。しかしPAがどんなものなのか知らなければ、調達のしようもありません。PAとはどのようなもので、どうやって調達するのか。PAの調達に必要な知識を詳しく解説します。

PAってなに?基礎知識をチェック

ミキサーとマイク

PAは特殊なものではなく、一般的な施設で日常的に使われています。PAとは何のことなのか、基礎知識を押さえておきましょう。

PAとは音響機器のこと

PA(Public Address)とは、多数の人にむけて音声を伝える音響機器・放送装置です。校内放送やデパートのアナウンス、選挙の演説などは、PAを用いて行われています。

コンサートにおいて、演奏の音を拡大して客席に届けるのもPAの役目です。現代人の生活において、PAは必要不可欠な道具といってよいでしょう。

PAシステムの基本構成

PA機器には多数の種類がありますが、どの機器も単体では機能しません。PAをイベントで使用するには、最低でも以下4種類の機器でシステムを構成する必要があります。

  • マイク
  • ミキサー
  • パワーアンプ
  • スピーカー

マイクは音声を入力する道具です。イベントでは司会やスピーチ、歌などの入力に用います。

ミキサーは、音声バランスを整える機器。マイクや楽器の音声、外部音源(音楽プレイヤー)などの音量・音質の調整に用います。

パワーアンプは、音声信号を増幅する機器です。ミキサーで加工した音を大きくして、スピーカーに伝える役目を担います。

スピーカーは、音声を出力する機器です。大規模なイベントでは、出力の大きいスピーカーが必要となります。

以上4種類の機器は、いずれもPAシステムの基本構成に欠かせません。ただし、ミキサーとパワーアンプの機能を兼ねる「パワードミキサー」のように、複数の役割を1台でこなす機器もあります。実際に必要となる機材構成は、イベントごとに異なると思ってください。

イベント規模・内容に合わせたPA機材例

光に包まれたステージ

PA機器の調達は、イベントに合わせて行うことが肝要です。イベント規模・内容に応じた、PA機器の例を見ていきましょう。

セミナー・会議のPA機材例

レンタルスペースで行うセミナーや会議では、簡易的なPAシステムが役立ちます。収容人数40人程度の会場であれば、以下3つの機材で対応可能です。

  • ワイヤレスマイク×2
  • ワイヤレス受信機
  • ポータブルPAシステム

セミナーや会議では、参加者に発言を求めるシーンも多いはず。ワイヤレスマイクであれば、配線を気にせずに参加者に渡せますし、回収も手早く行えます。

また、小規模のセミナーや会議では、本格的なPAシステムは不要です。ミキサーとパワーアンプ、スピーカーの3役を兼ねるポータブルPAシステムでも、音量不足を感じることはないでしょう。

小規模イベントのPA機材例

ある程度広い会場で行う小規模イベントでは、多少しっかりしたPA機器が必要となります。収容人数100人程度の会場を利用するなら、最低でも以下5つのPA機器は用意しましょう。

  • マイク
  • マイクスタンド
  • パワードミキサー(出力500W以上)
  • スピーカー×2
  • スピーカースタンド

マイクとマイクスタンドの数は、必要に応じて調整しましょう。パワードミキサーは、出力500W以上の機種を推奨します。スピーカーには、許容入力600W程度の機種を選んでください。

中〜大規模イベントのPA機材例

参加者が300人を超えるような中〜大規模のイベントでは、本格的なPA機器が必要となります。収容人数500人の会場でイベントを行う場合を例に、最低限必要となるPA機器を見てみましょう。

  • マイク
  • マイクスタンド
  • ミキサー
  • パワーアンプ(出力1,000W以上)
  • 大型スピーカー
  • モニタースピーカー

「モニタースピーカー」とは、ステージ上の出演者が音声を確認するためのスピーカーです。音楽イベントやダンスイベントを開催する場合は、モニタースピーカーを用意しましょう。

なお、上記のような規模のシステムになると、取り扱いに専門知識を要します。中規模以上のイベントを行う際は、必ずオペレーターの派遣を受けてください。

PA機材・オペレーターのレンタル相場

お金を数える男性

単発のイベントで使うPA機器は、レンタルで調達することが一般的。PA機器のレンタル料金の相場と、オペレーター派遣料の相場をチェックしてみましょう。

PA機材のレンタル料金相場

イベントで使うPA機器は、セットでレンタルできます。PA機器セットのレンタル料金相場は、以下のとおりです。

  • 小規模セミナー・・・5千〜1万円/日
  • 小規模イベント・・・1万〜2万円/日
  • 中規模イベント・・・3万〜4万円/日
  • 大規模イベント・・・8万以上/日

上記料金には、運搬費や設置料金が含まれていません。PA機器調達の予算を組む際は、レンタル料以外の諸費用も計算に入れてください。

オペレーター派遣料金の相場

中規模以上のイベントや音楽イベントでは、PA専門オペレーターの技術が必要となります。オペレーターの派遣料金は、1名あたり1万〜1万5千円前後が相場です。

大規模イベントや、セッティング時間に余裕のないイベントでは、2名以上のオペレーターが必要になります。この点を踏まえて、オペレーター派遣に割く費用は、2〜3万円程度を見積もっておいてください。

PA機材取り扱いの注意点

機材をセッティングする手

セミナーや小規模イベントに使うPA機器であれば、専門知識がなくても取り扱えます。ただし、PA機器は雑に扱うと壊れてしまうので要注意。PA機器の取り扱いに関する、基本的な注意点を解説します。

設置時の注意点

PA機器を設置する際は、以下の点に気をつけましょう。

  • 機材に衝撃を与えない
  • 電源はミキサー、パワーアンプ、スピーカーの順に入れる
  • 電源を入れる際はミキサーのフェーダーをゼロにする
  • 電源を入れる際はパワーアンプのボリュームをゼロにする

PA機器は精密機器です。運搬や設置の際は、衝撃を与えないように注意しましょう。重量のある機器を運ぶ際は、落下にも注意してください。

PA機器に電源を入れる際は、ノイズによる過大入力に注意しなければなりません。上記の注意点を守らず電源を入れると、ノイズによってパワーアンプやスピーカーが破損する場合があります。

撤収時の注意点

PA機器を撤収する際は、以下の点に注意してください。

  • 電源を切る際は各機器のボリュームをゼロにする
  • 電源はスピーカー、パワーアンプ、ミキサーの順に切る
  • 配線はスピーカー、パワーアンプ、ミキサーの順に抜く

各機器の電源を切る順番は、入れるときの逆です。PA機材はノイズに弱く、思いのほか簡単に壊れてしまいます。ノイズが生じやすい電源のオン・オフは、細心の注意を払って行いましょう。

まずはレンタル業者に問い合わせを

PA機器の調達にかかる費用は、会場の規模やイベント内容、レンタル業者によって大きく変わります。まずは複数のレンタル業者をピックアップして、気軽に問い合わせを行ってみてください。見積もりに納得したら、予算を組んで発注を行いましょう。