ここ数年、インナーブランディングに積極的に取り組む企業が増えています。従来のアウターブランディングに対し、なぜインナーブランディングが注目されているのでしょうか。今回は、現代の企業経営に欠かせないインナーブランディングの効果や手法を解説します。
目次
インナーブランディングとは?まずは基本をチェック
まず、インナーブランディングの基本的な意味やアウターブランディングとの違い確認しておきましょう。
企業が従業員向けにおこなう啓蒙活動
インナーブランディングとは、企業が従業員に対して働きかける啓蒙活動全般を指します。
企業がおこなうブランディング活動というと、従来は取引先やエンドユーザーに対する「アウターブランディング」が主流でした。ですが、企業のブランド価値をさらに高めるには社員の質向上が欠かせません。そこで、最近注目されているのが社内向けのインナーブランディングという手法です。
会社や自社ブランドへの理解を深めるのが目的
インナーブランディングの主な目的は、企業理念やビジョン、自社ブランドの価値について従業員の理解を深めることです。自社の目標や方向性を社員がよく理解していない状態が続くと、徐々に自社ブランドの低下を招くおそれがあります。
中長期的な視野に立ち、社員に適切な意識づけをおこなえば、アウターブランディングとの相乗効果も期待できるでしょう。
インナーブランディングの5つのメリット・効果
次に、インナーブランディングで得られるメリットや効果を5つご紹介します。
①愛社精神が高まる
インナーブランディングによって社員の企業理念やビジョンへの理解が深まると、自社に対する愛着が芽生えるようになります。
普段、社員は目の前の仕事に注力しているため、「この会社の一員として働いている」と意識している人は少ないかもしれません。ですが、インナーブランディングは社員に俯瞰的な視点を与えられるため、会社への帰属意識や愛社精神を高める効果があります。
②モチベーションの向上
「この会社だから働きたい」という愛社精神が高まれば、おのずと自分の仕事への意欲も高まります。
社員一人ひとりのモチベーションが低いと、最低限の仕事しかしなくなり、商品やサービスの質が低下するリスクがあります。その状態を放置していれば、アウターブランディングにも支障が出てしまいます。
その点、適切にインナーブランディングをおこなえば「もっとこうしよう」という意欲が湧き、会社のビジョンを踏まえたアウトプットを心がけるようになるでしょう。
③仕事の質の向上
インナーブランディングで社員のモチベーションが高まれば、仕事の質も向上するはずです。
一般的に、意識づけが効果的におこなわれていない社員の仕事ぶりはあまり良いとはいえません。なぜなら、自分の仕事の意義や位置づけがしっかりと理解できていないからです。
インナーブランディングは、社員一人ひとりに仕事の価値を見つめ直すきっかけにもなります。効果的な意識づけができれば、漫然と仕事をしていた人も積極性が増し、仕事の質の向上が期待できます。
④顧客満足度アップ
実務を担う社員一人ひとりの仕事の質が向上すれば、顧客満足度アップにもつながります。企業がアウターブランディングを懸命におこなっても、そもそも商品やサービスの質が高くなければ意味がありません。
取引先やエンドユーザーに対するアウターブランディングの効果を高めるためにも、まずは商品やサービスの価値を生み出す社員のやる気を引き出すことが肝要です。
⑤離職率の低下
社員の離職率が高い会社は、帰属意識やモチベーションの低さが影響している可能性があります。その点、インナーブランディングが成功すれば、離職する社員を減らせるでしょう。
優秀な社員の流出は、中長期的に見ると会社のブランドにも悪影響を及ぼします。そのため、社員の愛社精神や働く意欲を高めるインナーブランディングはとても有効です。
インナーブランディングに有効な手法・事例
では、インナーブランディングにはどのような手法を用いれば良いのでしょうか。具体例をチェックしましょう。
社員にアンケートを実施する
社員のモチベーションや帰属意識を知るために、アンケートを実施することはインナーブランディングの基本です。
施策を実行する前に、まずはアンケートで現状を把握し、課題を洗い出しましょう。そして、施策後に再度アンケートをとり、変化をチェックします。
社員を何人か集めてワークショップをおこない、忌憚のない意見を出し合ってもらうのもおすすめです。
クレドや社内向けWebサイトを作成する
「クレド」は、会社の基本理念や行動指針を簡潔にまとめた小さなカード(またはリーフレット)です。
携帯しやすいコンパクトなサイズにし、社員全員に配布します。手軽に見返しやすいものを用意することで、社員は仕事に対する心がまえやアウトプットの方向性をいつでも確認できるようになります。
動画などを盛り込み、視覚や聴覚に訴えた社内向けのWebサイトを作成するのも良いでしょう。
社内イベントを実施する
周年パーティーや表彰式といった社内イベントを実施するのも効果的。社内イベントは多くの社員が一堂に会する場なので、理念やビジョンを浸透させる絶好のチャンスです。また、イベントの種類によっては社内コミュニケーションの活性化にも役立ちます。
インナーブランディングはプロの力を借りよう
インナーブランディングは自社で実施することも可能ですが、専門知識のある外部業者に依頼するのもおすすめです。
都内にあるインナーブランディングのサポート会社
インナーブランディングに定評のある都内の業者を2社ご紹介します。
株式会社ソフィア
インナーブランディングのパイオニア的存在の会社です。組織風土改革プログラムや社員インタビュー調査をはじめ、研修・ワークショップなどインナーブランディングに関わる事業を幅広く手がけています。
株式会社イマジナ
2,600社以上のコンサルティング実績がある企業ブランディング専門の会社です。人材育成に関する知見も豊富で、社内報などのコミュニケーションツールの作成もおこなっています。
社内イベントは代行業者に任せるのが安心
インナーブランディング専門の業者でも社内イベントをサポートしてもらうことは可能ですが、社員総会など特定のイベントに限られる可能性があります。
社内イベントの種類は多岐にわたるため、企画段階からプロに相談したい場合は、当社(SML)のような社内イベントに特化した代行業者に任せましょう。
インナーブランディングで企業価値を高めよう
インナーブランディングの効果は単一的なものではありません。課題を把握して適切な施策を打てば、愛社精神の向上やモチベーションアップをはじめ複数の効果が期待でき、それぞれが作用し合うことで大きな成果につながります。
社員一人ひとりの意識づけができれば、商品やサービスの質が高まり、ひいては企業価値をさらに高めることができるでしょう。